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生誕100年 ルキノ・ヴィスコンティ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ こんにちは。映画音楽の巨匠最終回はルキノ・ヴィスコンティで す。若い方にはあまりなじみのない名前かも知れませんが、監督 作品である「郵便配達は二度ベルを鳴らす」や「ベニスに死す」 などのタイトルは聞いたことがあるのではないかと思います。 ヴィスコンティは、存命ならば今年で100歳。しかもこのメルマ ガ、発行日の本日(11月2日)が誕生日なのです。 イタリアの名門貴族の家に生まれたルキノ・ヴィスコンティは、 1930年代半ば、パリ遊学中にジャン・ルノアール監督と出会った ことで映画に興味を持つようになります。初期の作品はネオリア リスモ。戦争末期や戦後の庶民の貧しさ、社会の混乱を深くえ ぐった先駆的なものが大半でした。そしてアラン・ドロンやバー ト・ランカスターなどの美男子を起用した「若者のすべて」「山 猫」を経て、晩年は「家族の肖像」「イノセント」に見られるよ うにまるで自らのレクイエムを奏でるような滅びの予感に満ちた 作品に傾倒していきます。 映像美学にこだわったヴィスコンティは、映画音楽にクラシック を多く用いました。その中から特に有名な2作品を紹介します。 ベニスに死す(1971年) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 病を癒すためにベネチアのホテルに滞在する、初老の作曲家グス タフ・フォン・アッシェンバッハ。彼は同じホテルに滞在する ポーランド人の美しい少年タジオに強い官能の誘惑を感じてしま います。 アッシェンバッハのモデルは作曲家のグスタフ・マーラー。挿入 歌でも彼の曲を用いています。マーラーの「交響曲第5番第4楽章 アダージェット」は、人気のなくなった海辺で少年の面影を思い 浮かべながら息絶えていくアッシェンバッッハの壮麗な死の儀式 を奏でています。 ルートヴィヒ〜神々の黄昏〜(1972年) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ルートヴィヒ2世の生涯を描く壮大なドラマ。19歳でバイエルン 国王となったルードヴィヒ2世は、作曲家ワーグナーに心酔して 国費をつぎ込んでしまいます。後に、オーストリアとの戦いに敗 れ、ワーグナーにも裏切られたルードヴィヒは、失意のどん底に 突き落とされて突如謎の死を遂げることに・・・。 この映画でもワーグナーの歌曲が多く採用されています。「タン ホイザー」「ローエングリン」「トリスタンとイゾルデ」。特に トリスタンとイゾルデの愛の調べは、見る者の情感を盛り上げます。 NHK−BS2で7作品を放送! ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ヴィスコンティ生誕100年を記念して、11月20日〜30日にかけて NHK-BS2で7作品を放送します。記念すべきデビュー作「郵便配達 は2度ベルを鳴らす」から晩年の「ルードヴィヒ」まで、巨匠の 多彩な作風を網羅できる充実のラインナップです。秋の夜長、 ヴィスコンティの耽美で絢爛豪華な世界に浸ってみてはいかがで しょう。
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